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GeoMx® デジタル空間プロファイラー(DSP)

GeoMx DSP のデータ分析ソフトウェアは、データの視覚化と解釈を容易にします。定量的なプロファイリングデータとともに高解像度の画像を表示し、どちらのデータセットもリアルタイムで操作することができます。

GeoMx DSP のしくみ

このアッセイは、RNA プローブと光切断可能なオリゴヌクレオチドタグを使用します。スライドに貼り付けたホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片にプローブをハイブリダイゼーションした後、UV 照射により組織内の選択された分離領域からオリゴヌクレオチドタグを遊離させます。遊離したタグは RNAseq または標準の nCounter アッセイを用いて定量化され、数値が組織の位置と照合されます。これにより、分析物の存在量に関する空間的に分解されたデジタルプロファイルが得られます。1

ステップ 1. 染色 2. ROI の選択 3. UV 切断 4. 採取・分注 5. 計数 時系列で表示。プロセスのイラストがあります


GeoMx DSP の適用2

  • 治療反応を予測するバイオマーカーを探索する
  • 腫瘍微小環境内の特徴的な領域または細胞型を明らかにする
  • 薬物の作用機序を明らかにする
  • 組織の特定の成分において薬物の影響を受ける遺伝子を探索する
  • 疾患の分子のサブタイプを明らかにする
  • 疾患のメカニズムと進行を理解する
  • 前臨床モデルを研究する

Technical spotlight

空間トランスクリプトームプロファイリングによる組織の不均質性の解明

With the goal of understanding and improving anti-tumor immune response in the TME, we used the GeoMx® DSP platform to examine the effects of anti-mPD-1 therapy on CD45+ immune cells and PanCK+ tumor cells within the TME of the subcutaneous (SC) MC38-NCI.TD1 murine colon carcinoma model.

Morphology marker stained MC38 NCI.TD1 tumor section demonstrates the regions of interest segmented into areas of illumination (AOIs) containing CD45+ immune cells in proximity to high- versus low-PanCK expressing tumor cells. Volcano plots show the transcriptomic modulation of such AOIs in isotype control and anti-mPD-1 antibody treated MC38-NCI.TD1 tumors.

GeoMx DSP のメリット

空間分解能

研究者は高解像度の空間情報を使用して、複雑な組織内の遺伝子発現パターンを細胞レベルおよび細胞下レベルで分析することができます。このような空間的文脈は、異なる型の細胞間の機能的構成と相互作用を理解する上で非常に重要です。

多重解析

多重解析により、最大 21,000 個の RNA 標的を同時に測定することができます。効率的に処理を行うことで時間とリソースを節約できるだけでなく、全身における遺伝子発現パターンを理解できるため、分子の状況をより包括的に把握することが可能になります。

細胞の不均一性

RNA のバルク分析と違い、GeoMx DSP では、組織試料内の細胞型を個別に同定およびプロファイリングすることができます。これは腫瘍のような不均一な組織では特に有用で、このような場合、異なる細胞集団の特異的な発現パターンを理解することは、プレシジョンメディシンやバイオマーカー探索において不可欠です。

既存技術との互換性

従来の RNA シーケンシングを含む他の分子分析技術と互換性があります。シームレスな統合により、研究者は、空間情報とハイスループットのゲノムデータを組み合わせて、より包括的で補完的な分析をすることができます。

組織構造の知見

組織構造内の遺伝子発現の詳細なマップにより、生物学的サンプルの組織と構造に関する知見が得られます。この情報は、空間的な関係を明らかにし、遺伝子発現が組織の異なる領域でどのように変化するかを理解する上で、きわめて重要なものです。

カスタマイズ可能なパネル

研究者は、関心のある特定の遺伝子や経路を標的とするカスタムパネルをデザインし、GeoMx DSP の実験を研究独自の要件に合わせて調整することができます。こうした柔軟性により、幅広い研究に対応するプラットフォームの多用途性がさらに高まります。

バイオマーカー発見

GeoMx DSP の空間分離アプローチにより、RNA のバルク分析では見落とされがちな、空間的に関連したバイオマーカーの探索が容易になります。これは、潜在的な治療標的や疾患の診断マーカーを特定するのに欠かせない機能です。

臨床的関連性

FFPE 組織などの臨床試料を分析できるため、トランスレーショナルリサーチや臨床研究との関連性が高まります。この機能により、診断ツールや個別化医療の開発における GeoMx DSP の潜在的な影響力がさらに拡大します。

単一細胞解析

単一細胞の分解能により、各細胞のユニークな遺伝子発現プロファイルの臨床研究が可能になります。詳細なレベルまで解析できるため、生物系の複雑さを解明するのに特に役立つだけでなく、より正確でターゲットを絞った治療介入につながります。

データ視覚化ツール

このプラットフォームには、空間的遺伝子発現データの解釈を容易にする高度なデータ可視化ツールが搭載されています。研究者は、詳細なマップや視覚的な表現を作成して、複雑な生物試料の分析を直感的かつ包括的に行うことができます。

GeoMx DSP に関するよくあるご質問

GeoMx DSP は、従来の全組織バルク RNA 解析よりも明らかに優れた、空間ゲノミクス分野に大きな変化をもたらす技術です。バルク RNA 分析と違い、GeoMx DSP では、複雑な生体組織を空間分解能で解剖することが可能です。また、組織構造との関連において遺伝子発現の詳細なマップを提供します。この空間分解アプローチにより、細胞の不均一性や試料内での相互作用をより正確に把握し、遺伝子発現パターンの空間組織の知見を得ることができます。GeoMx DSP は空間的文脈を維持することで、細胞特異的な発現プロファイルや、バルク RNA 分析では見落とされがちな、空間的に関連するバイオマーカーの同定を可能にしています。さらに、GeoMx DSP は、例えば腫瘍のように不均一なサンプルを検査する場合にとりわけ有用です。このような場合は、複雑な分子の状況を読み解くために、空間情報が重要になってきます。GeoMx DSP は、従来のバルク RNA 分析よりも生体系をより包括的に、また、より細かく把握する機能を提供し、ゲノミクス研究を力強く後押しします。

フローサイトメトリーは、腫瘍内の免疫細胞に対する免疫療法の効果を解析するためのゴールドスタンダードです。しかし、フローサイトメトリーには、腫瘍微小環境(TME)内の異なる区画で活性化した免疫細胞を区別できないという、このアッセイ特有の欠点があります。TME は不均一な性質のため、標的腫瘍細胞と密接に接触する免疫細胞を可視化して調べることが重要です。腫瘍細胞に接する免疫細胞における免疫調節反応は、フローサイトメトリーでは明らかにすることができません。GeoMx DSP では、形態学的マーカーを用いて特定した関心領域(ROI)において特定の細胞型を選択し、ROI および細胞それぞれに特異的な免疫調節反応を解析することができます。

  • 腫瘍細胞
    • 癌幹細胞
    • 転移性癌細胞
    • 休眠癌細胞
    • 汎サイトケラチン高発現癌細胞
    • 汎サイトケラチン低発現癌細胞
    • アポトーシス癌細胞
    • 壊死癌細胞
  • 免疫細胞
    • T 細胞:CD4+、CD8+、Treg
    • CAR T 細胞
    • B 細胞:Breg
    • NK 細胞
    • 骨髄由来抑制細胞
    • 腫瘍関連マクロファージ:M1、M2
    • 腫瘍関連好中球:N1、N2
    • 樹状細胞
  • 間質細胞
    • 腫瘍内皮細胞
    • 周皮細胞
    • 癌関連線維芽細胞
    • 間葉系幹細胞
    • 腫瘍関連脂肪細胞
    • 星細胞
  • 血管
  • リンパ管
  • 正常宿主組織/細胞
  • 細胞外基質
  • エクソソーム

FFPE 組織または FFPE スライドのいずれかを使用できます。当社と In vivo 試験を行う場合は、当社にてスライドをご用意することも可能です。

  • 使用する宿主生物および腫瘍モデル生物
  • DSP システムで処理・分析するスライドの数
  • 形態学マーカーおよび標的 mRNA パネル
  • スライドあたりの ROI の数
  • ROI の選択・抽出方法
  • ROI を分割するか否か
  • 分析が必要なデータの量(試験の最終段階で決定してもかまいません)

  • 以下のような場合、特定の遺伝子における変化をさらに詳細に分析することで、有効な結果が得られる可能性があります。
    • 新しいバイオマーカーを発見する
    • 特定のバイオマーカーに対する治療の影響を見極める
    • 新しい発癌遺伝子または癌抑制遺伝子を見つける
    • 薬物標的を見つける
    • 治療により、特定の標的遺伝子に影響があったか否か、(影響があった場合は)どのような影響があったのか特定する
  • 特定の遺伝子セットにおける変化をさらに詳細に分析することで、以下のようなことを確認できます。
    • 特定のシグナル伝達経路が治療にどのように反応するか
    • どの細胞型が治療に反応するか
    • 腫瘍微小環境内の特定の場所が治療によってどのような影響を受けるか
    • 薬剤の有効性や失敗には、どのような細胞/分子成分が関与しているのか


参照

  1. 米国国立癌研究所癌研究センター。NanoString GeoMX デジタル空間プロファイラー(DSP)。https://genomics.ccr.cancer.gov/ncounter-geo-mx-digital-spatial-profiling/
  2. GeoMx® デジタル空間プロファイラー。 NanoString. https://nanostring.com/products/geomx-digital-spatial-profiler/geomx-dsp-overview/

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