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PBPK モデリング

PBPK 分析では、生理学、母集団、薬物特性を組み合わせたモデルとシミュレーションを使用して、薬物動態学的(PK)な振る舞いを機構的に説明します。PBPK モデルによる予測は医薬品のライフサイクル全体を通して活用可能で、特定の臨床薬理試験を行うかどうか、いつ実施するかを判断する際に役立つほか、製品ラベリングにおいては推奨投与量の裏付けにもなります。

PBPK モデリングの用途には以下が挙げられます。

  • 初期開発(バイオ分析、製剤のオプティマイゼーション、PK 予測)
  • 用法デザインとオプティマイゼーション
  • 生物種間のスケーリング / フェーズ I FIH 暴露量の予測
  • 母集団要素(年齢、民族性、遺伝子発現など)
  • 製剤の架橋試験 / 生物学的同等性
  • 薬物間相互作用の予測
  • 標的範囲を理解するための抗体 PBPK 分析

反復的なモデリングプロセス

PBPK モデリングのプロセスは反復的で、ごくわずかな情報で始められるだけでなく、医薬品開発過程のどの時点でも実施することができます。開発のなかでモデルが何度も使用され、改良されることもあります。

たとえば、非常に単純な低分子の PBPK モデルは、分子構造の情報と予測される物理化学的特性のみで開始できます。このモデルはその後、将来の研究デザインの手がかりを得るために使用でき、データを追加することでより正確な予想が可能になります。この作業を開発プロセス全体で繰り返せば、臨床に向けてモデルを改良していくことができます。

いったん臨床に進むと、ヒトの PK データを使用してモデルの検証 / 特徴付けを行い、臨床試験デザインを改良および合理化することができます。

規制ガイダンス

PBPK は規制当局への申請では特に義務付けられていません。それでも、FDA が2018年に発表したガイダンスでは、申請時のデータパッケージに PBPK モデリングを含めることが強く推奨されています。また、ファーストインヒューマン(FIH)投与に関する2017年の EMA ガイドラインでは、FIH 投与の推計に関して、最先端のモデリング(PK/PD や PBPK など)をベースとするか、または相対成長要因を使用することを推奨しています。

PBPK は、薬物間相互作用の評価の裏付けとして使用することも可能で、なかには臨床 DDI 試験の代用として認められているケースもあります。

準備チェックリスト

  • 低分子モデル:分子の物理化学的性質 - In vitro ADME データ(血漿タンパク結合、In vitro 安定性、CYP 表現型など)。
  • 高分子モデル:標的の親和性、発現、代謝回転速度、占有率などの情報が有用。
  • 両方の分子で必要:モデルを検証するための前臨床 In vivo PK データ。

成果物

  • 完全にフォーマットされた、規制当局に提出可能な状態のレポートとデータ
  • 低分子の In vitro 特性評価
  • 結合能、占有率などを評価するための In vitro 抗体アッセイ
  • In vivo PK
  • 臨床 PK