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酵素阻害

シトクロム P450(CYP)および UGT 酵素の阻害は、臨床的関連性を有する薬物間相互作用の主要な原因となっています。非試験体の阻害的潜在要因は、ヒト肝臓ミクロソーム ベースの培養プール内のヒトCYP酵素のための、選択的プローブ基質の代謝効果を測定することで評価されます。阻害的酵素動態は、薬物投与後に臨床的に重要なDDIが発生するかを予測するために用いられるデータ結果によってより具体的に特徴付けられます。
  • FDA / EMA が推奨する試験 

  • 細胞毒性 / 安定性アッセイ

  • CYP mRNA / 酵素誘導

酵素阻害研究の規制に関する考慮事項

これらの研究はFDA(米国食品医薬品局)やEMA(欧州医薬品庁)の薬物間相互作用(DDI)ガイドラインに基づいて、ファーストインヒューマン臨床試験に移行する前の可逆(直接)および非可逆(時間依存性)シトクロム P450阻害に関するデータを生成するため、推奨されています。阻害データは臨床DDI研究の範囲と要求事項を見極めるのに用いられます。

方法

  • テストシステム: プールされたヒト肝臓ミクロソーム(HLM)
  • CYP酵素の評価:  CYP1A2, CYP2A6, CYP2B6, CYP2C8, CYP2C9, CYP2C19, CYP2D6,CYP2E1 およびCYP3A4/5
  • リクエストによる直接阻害アッセイ内のUGT酵素の評価: UGT1A1, UGT1A3, UGT1A4, UGT11A6, UGT1A9, UGT2B7, UGT2B15
  • 被験物質の濃度:  3重検査で8濃度
  • すべてのサンプル準備と培養はHamilton Microlab Star自動液体処理システムを使用して行われます。

 

CYP阻害は直接と依存アッセイの両方で計測されます。CYP選択的基質はそれぞれの酵素に対して最大反応速度の半分(Km)の値を達成する基質濃度で使用されます(下記を参照)。既知の阻害剤は陽性対照として、直接および代謝依存性阻害剤アッセイの両方に用いられます。すべての培養は、CYP基質に特有の、安定標識内部代謝標準を含んだ冷却アセトニトリルを加えことで停止されます。

時間依存性(非可逆性)阻害

被験物質の8濃度を使用したアッセイはNADPHの有無に関わらずプローブ基質アッセイ混合物に液化する前に30分間培養されます。相当量の時間依存性阻害が認められた場合、不活性化定数(kinact)および阻害定数(KI)を含む追加の動態パラメーターが測定可能です。実験的に前保温時間や阻害剤濃度を調整することで測定されたこれらのパラメーターは、薬物間相互作用の可能性を定義するのに役立つことがあります。 

直接阻害

アッセイは8濃度の被験物質の有無に関わらず実行され、それによって潜在阻害能力を測定し、可能な場合はIC50を定義します。

直接阻害は、5濃度のプローブ基質を用いて阻害定数(Ki)、および観察された阻害のタイプを測定することによって、より細かく特性付けられます。

シトクロームP450基質検体直接阻害時間依存性阻害
CYP1A2フェナセチンアセトアミノフェンフルボキサミンフラフィリン
CYP2B6ブプロピオンヒドロキシブプロピオンオルフェナドリンチオテパ
CYP2C8アモジアキンデスエチルアモジアキンモンテルカストゲムフィブロジル 1-O-β-グルクロニド
CYP2C9ジクロフェナク4'-ヒドロキシジクロフェナックスルファフェナゾールチエニル酸
CYP2C19メフェニトイン4'-ヒドロキシメフェニトインノートカトンエソメプラゾール
CYP2D6デキストロメトルファンデキストロルファンキニジンパロキセチン
CYP3A4/5テストステロン6β-ヒドロキシテストステロンケトコナゾールエリスロマイシン
CYP3A4/5ミダゾラム1'-ヒドロキシミダゾラムケトコナゾールトロレアンドマイシン

 

成果物

これらのアッセイはCYP酵素の直接および不可逆的阻害においてIC50数値を提供します。相当量の直接阻害が認められた場合、阻害定数(Ki)を判定することが可能です。相当量の時間依存性阻害が認められた場合、機序に基づく不活性化パラメーター(KI and kinact)が判定できることもあります。これらのパラメータにより、治験の必要性を評価する際にファーマコメトリクスが追加の指針となる可能性があります。